嗜好品として広まったコーヒー ~コーヒーハウスができるまで~

2.嗜好品として広まったコーヒー
~コーヒーハウスができるまで~

最初は薬として飲まれていたコーヒーですが、時代が進むにつれて
嗜好品として多くの国で飲まれるようになりました。

コーヒーの豆の起源地は伝説の地エチオピア、また中部アフリカのウガンダからコンゴ民主共和国(旧ザイール)あたりとも言われています。飲み物になったのは14世紀にアラビア半島にあるイエメンからで、15世紀あたりからアラブ世界に広まったとされています。1511年にはアルコールと同じように、コーヒーの禁止令を出したという記録も存在します。

この時代のコーヒーの名は「バンカム」といい、まだ現在のように豆を煎るということはしていませんでした。熟した果実の種子を煮て柔らかくして食べたり、上澄みを飲んだりしていたそうです。その次のある時期は、乾燥した豆を砕いて煎じた汁を飲んでいました。煎り豆を使用するようになったのは、1450年頃。ペルシャで長い柄のついた大型のスプーンでコーヒー豆を焙煎して、粉を砕いて煮出して飲むようになったからだと伝えられています。

コーヒーは煎り豆の飲料になってからは、「カーファ」と呼ばれるようになりました。1510年には、エジプトのカイロに伝わり、現在のコーヒーハウスのように、人々がコーヒーを飲む憩いの場もでき始めました。ところが、メッカの支配者カイール・ベイは、コーヒーがコーランの教えに背くとして飲用禁止令を発令。危うくコーヒーが飲めなくなりかけました。しかし、カイロのサルタン国王自身がコーヒーの愛好家であったため、すぐに禁止令は撤回されました。

その後17世紀に入ると、コーヒーがヨーロッパに伝わり、最初のコーヒーハウスが1645年にイタリアのヴェネツィアにオープン。それから10年の間に、ロンドンやパリでもコーヒーハウスが次々とオープンしました。音楽家 バッハが『コーヒーカンタータ』を作曲したり、コーヒーハウスでコンサートを開いたりしたのが1732年頃。イギリスで『コーヒーの歴史的考察』という学術論文が発表されたのが1774年。この頃、ヨーロッパにコーヒー文化が浸透し、定着していった様子がこれらの事実からもわかります。

この頃、コーヒーを薬だと思って飲んでいた人はいませんでした。お酒に近い大人の飲み物、嗜好品として愛飲されていたのです。

<コーヒー伝来 年表>

  • 13世紀 アラビアを中心とした地域で秘薬として飲用される
  • 1454年 シェーク・ゲマレディンによって民衆に公開される
  • 1510年 カイロにコーヒーが紹介される
  • 1517年 トルコのセリーム1世がイスタンブールに紹介する
  • 1554年 イスタンブールに世界初のコーヒーハウス「カフェカーネス」が開店
  • 1602年 ローマに伝わる
  • 1615年 ヴェネツィアに伝わる
  • 1616年 オランダに伝わる
  • 1637年 イングランドに伝わる
  • 1638年 砂糖を入れたコーヒーが見られるようになる
  • 1644年 マルセイユに伝わる
  • 1645年 ヴェネツィアにヨーロッパ初のコーヒーハウス開店
  • 1652年 ロンドンにコーヒーハウス開店
  • 1657年 パリに伝わる
  • 1668年 アメリカに伝わる
  • 1670年 ドイツに伝わる
  • 1671年 マルセイユにフランス初のコーヒーハウス開店
  • 1674年 スウェーデンに伝わる
  • 1679年 ドイツのハンブルグにコーヒーハウス開店
  • 1683年 ウィーンにコーヒーハウス開店
  • 1696年 ニューヨークにコーヒーハウス開店
  • 1700年 ロシアに伝わる

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